BLack†NOBLE
ニナとジェロは肩を抱き合い泣きだした。ニナと目が合うと反らされた。俺の事は、嫌いなのだろう。
数日共に過ごした彼女との別れが辛いのだろう。
居心地が悪い最低な場所が、こんなに居心地良くなるなんて思いもしなかった。
昼間からワイン片手に、この緩い雰囲気はすごくいい。
此処は、蔵人の居場所だ。こんなに多くの信頼できる仲間に囲まれている。
ローザも、蔵人とアリシアの結婚をきっと喜ぶだろう。ローザの湖畔の様な静けさは、俺たちの母親の愛情によく似ているのかもしれない。
「柏原!」
扉が開いて彼女が俺の元にやってくる。
「何か如何わしい事をされなかったか?」
「何もされてないわよ~柏原が子供の頃、お留守番が寂しくてお兄様に抱き着いて泣いた話とか聞いていただけだわ♪ ふふ、可愛いわ!
"るーたん"、"くーたん"って呼び合っていたのよね?」
「…………蔵人め」
「私も、"るーたん"って呼ぼうかしら?」
「やめてください……本気で……」