BLack†NOBLE
「狡い! 柏原だけ読めるんだから、私にも教えてよ!」
くそっ…………
この後、アリシアを路上に突き飛ばして置き去りにしようとした事は、一切書かれていない。
「柏原? この子、お兄様が飼ってた女の子よね? なんで柏原と抱き合ってるのよ!」
俺は、雑誌を元に戻すと再び彼女の手を握り締めた。
「気にしないでいい。躾がなってないのは飼い主の責任だ」
「むう……意地悪!」
「意地悪なんて生まれてこの方あまり言われたことがないのに、今日は二回も言われた」
「嘘よ! 柏原は意地の悪さの塊じゃないの!」
「人聞きが悪いな……お仕置きだ。人前で恥ずかしい思いしたいか?」