BLack†NOBLE
『はやくしろ』


 彼女は、メイドなのだろうか?
 薬剤師なのだろうか?

 そのどちらも担っているようだが、俺にはどうでもいい話だ。


『も……申し訳ございません。お待たせしました』


 曇りガラスが半分だけ開く。

 恥じらい顔を真っ赤に染めながら、真っ白で大きなバスタオルを手渡してきた。


 素早くタオルを腰に巻きつけて、遠慮なく濡れた手で、彼女の腕を掴んだ。




『え? 瑠威様……』

『大きな声を出すなよ』


 ニナを浴室に引き入れても、ライフルを構えた護衛は眉をつり上げ、こちらを見ると『いい身分だな』とため息をついて俺たちに背を向けた。



 この屋敷では、このようなことは日常的だという証明だ。



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