BLack†NOBLE

 バスタイム後の柔らかい頬に唇を落とす。それから耳を甘噛みすると「ん……」漏れる熱い吐息。


 彼女を求めて走り抜けたイタリアの暗い景色が脳裏に浮かんだ。ただ必死に、彼女の温もりを求めた。



 大切すぎて、俺には負担が重すぎて、何度も未来に絶望した。



 だけど、彼女がいてくれなかったら俺は何をしでかしていたかわからない。あんなに一生懸命にはなれなかった。蔵人のことをわかろうともしなかっただろう。かつて、そうやってイタリアを離れた時のように……俺は兄を恨んだまま生きていたかもしれない。


 愛しい彼女が全てを導いてくれていたんだ。



「イタリア語の勉強は、また明日にいたしましょうか?」


「……うん」

 
 頷いた彼女の艶やかな唇を指でなぞる。




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