BLack†NOBLE
『わかりません! お願い、離して!』
『俺と一緒に運ばれた女は、どうだった? お前だって気になっているだろう?』
ニナの耳元で低く唸る。
この女に恨みをこめても、罪はないのだけれど、怒りをコントロールできない。
さっき俺が罵倒を吐いた時にも、哀れなニナは何度も『ごめんなさい』と謝っていた。
ニナが小さく頷いたので、腕を解放して正面を向かせる。
『彼女は無事か?』
ニナの瞳に、大粒の涙がたまる。それが一粒流れた。
『無事です。大丈夫……怪我などはしていません』
『この屋敷にいるのか?』
両手でニナの顔を掴み、視線を合わせる。
『います……お願い、離してください』