BLack†NOBLE


『メルフィスの手先になって、姑息な仕事で儲けた金で飲むワインは美味いか? 悪事に手を染めて、派手に遊べば楽しいか?』



 笑いを止めた女たちは、身を守るように次の蔵人の動きを観察する。


『瑠威…………。ワインを製法する時に、葡萄を踏んで粉砕出来るのは処女のみという掟を知っているか?』


『そんな掟に従うなら、忽ち世界中のワインが品薄状態になるだろうな』


 クリスタルグラスは、ブラックライトの光で怪しく光る。高級レストランでこのグラスを手にしたのなら、もっと素敵に輝いていただろうに……

 もう一度、そっと優しくそれを口に入れる。


 トロピカルフルーツのようなフレッシュな香り

 イタリア産のシャルドネを使用していて、熟成はやや浅い。


 だが、甘い果実の風味と心地よい酸味が後味に残る。


 親しみやすくて、口当たりが良い。
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