BLack†NOBLE



「良い酒と、贅沢な料理に、綺麗な女を好きなだけ犯しまくって……遊べばいい。昔よりも、もっと派手に遊べるぞ。一人の女を愛したって、結局めんどくさいだけだろ」


 蔵人は、黒髪から挑発的な笑みを魅せる。

 それから薄い唇に、クリスタルグラスを押し当てると……ワインを少し口にした。無駄がなく、とても鍛練された動きだ。

 テイスティングをしながら転がすようにワイン味わい、もう一度ワインを口に入れると深く味わった。


『いいワインだ』


 そのソムリエを気取ったような上品な動作だけで、両脇の女は蔵人をうっとりとした目で見つめている。



『あなたは、どんなワインの飲み方をするの?』と俺の隣にいた女が、訊ねてきた。


 
 クリスタルグラスを強く握り、乱暴に口に流し入れると蔵人を睨みつける。殴られて切れた口の中の傷がズキズキと痛んだ。



『まあ』と驚いたような女の声と、蔵人の両脇にいる女はクスクスと笑い声をあげた。



『マフィアごときが、格好つけるなよ……』



 すると、笑い声が止む。そこにいた女たちは、皆一様に青ざめた。



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