BLack†NOBLE
「懐かしいだろ? 日本には、こんな娯楽施設ないだろうからな」
「当たり前だ。法律で現金賭博は禁止されている」
「つまらない国だ」
昔は……彼女と出会う前。まだ両親が健全だった頃は、外交官の気難しい父の目を欺き、こうして蔵人とよく夜遊びを繰り返していた。
兄の蔵人に誘われて、夜の街に出て刺激を求める。金には困らなかったし、女はいくらでも寄ってきた。
派手に遊び、悪い連中ともつるんだ。危ない目にも何度も遭ったが、蔵人といれば何も問題ない。
それは最高にスリリングで、退屈な毎日の最高のスパイス。
両親を欺く為に俺たちは学業も疎かにはしなかった。蔵人は国立の大学をトップの成績で卒業しているし、地元企業へ就職も決まっていたはず……。
騒がしいホールを抜けて、VIP専用のラウンジに入る。
二十人以上が座れそうなソファーセット。シックなインテリアに落ち着いた内装。
ビリヤードの台が設置されていて、専用のバーラウンジがあり専属のバーテンがグラスを磨いていた。