BLack†NOBLE
『久しぶり、アリシア』
『クロード~会いたかった』
アリシアは、背中の大きく開いたタイトなドレスで蔵人の膝の上に飛び乗る。
小柄な容姿だが、彼女の辞書には『遠慮』という文字がないようだ。
蔵人は涼しい顔をしたまま、アリシアの熱烈なキスを受け入れる。
この女、アリシア・キースか?
国際映画祭でレッドカーペットを歩く程の、実力派女優。 確か最近、受賞最有力候補でノミネートされた賞を惜しくも逃したばかりだ。
その報道は、世界中に配信されて、日本にいる俺も顔くらい覚えていた。
『主演女優賞、残念だったなアリシア』
蔵人は、眉を寄せて柔らかく微笑む。
『そうよ! クロードが審査員三人と寝れば間違いないって言ったのにっ』
『残念だな、相手は女性審査員の夫まで手玉にとったようだな』
『もうっ、すっごい変態オヤジがいて。私、お人形の衣装まで着たのよ!』
アリシアは、『いやぁ、思い出したくない!』と叫びながら頭を振ると蔵人の胸に抱き着き深呼吸を繰り返す。