BLack†NOBLE


 若面蒼白で銃の恐怖に震えながら、必死にアリシアの体に手を這わせている男。性行為とは程遠い、体罰に近い行為だ。

 残酷なのは、二人に罪がないことだ。アリシアは、成す術なく荒々しいまでの愛撫に耐えていた。



「蔵人……俺が彼女と別れれば満足か?」


「どうだろうな」と首を捻り、煙草をふかす蔵人。


「そんな事をして、何の意味がある?」

 語尾を荒げて、出来るとこならコイツを殴り飛ばしたい。


 防弾ガラスの向こう側が、天国に見えてきた。ホールでは海藻みたいな奴らが踊り狂う場所なのに。


『瑠威、お願い……助けて……』


 アリシアの届かない懇願が俺に向かう。



「一度は、結婚した女だろ? あんな頭の悪そうな奴に犯されて苦痛じゃないのかよ!」


「自分の女を束縛する趣味はない」


 俺なら、絶対に彼女をこんな目には遭わせない。




 なんとか、ここから逃げ出して蔵人から彼女を取り戻さなければ……




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