BLack†NOBLE
『離れろ』
『嫌よっ! クロードに怒られちゃうもん』
カメラのフラッシュがたかれた。パパラッチとかじゃないよな?
使えない上に、迷惑な女だ。
クラブの出口を抜ける。後ろを振り返るも、追っ手はいない。
蔵人の野郎、本気で俺が自分の元に戻ると思っているのか?
それとも、もっと酷い仕打ちを企んでいるとか?
どちらにしても、一刻も早くお嬢様を迎えに行かなくては……
『アリシア、車あるか?』
『あるよ。それ』
アリシアは、あっさり一台の真っ赤なランボルギーニを指差す。
クラブの前の路上は、縦列駐車された高級車が犇めいている。
アリシアは、小さなパーティバックから鍵を取り出す。
『貸せ』
『嫌よ。私を置き去りにする気でしょ?』
『そんな訳ないだろう? ドライブしよう、女に運転させるのは気がひける』
馬鹿女……
変なとこだけ、疑り深い。
はやく鍵を寄越せよ。
『キスしてくれたら、貸してあげてもいーよ』