一番星の愛情物語
相手側といくつかのやり取りがあり、嗣実さまは、ニッコリと笑う。


「はい。ありがとうございます。では、失礼します」


受話器を置いて、嗣実さまは、軽く息を吐きました。皮張のチェアから立ち上がると、歩き出します。


「焼き菓子でいいかな」


そう呟いて、一階の奥の部屋に移動しました。


まずはエプロンを身に付けて、手をよく洗います。


頭の中にある材料を棚や冷蔵庫から取り出して、手際よく動かしていきました。


しばらくすると、いくつもの焼き菓子が出来上がりました。


「……さて、可愛いいお姫さまは気に入ってくれるかな?」


嗣実さまは、あの強気ないろはさまを思い出しているようです。

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