一番星の愛情物語
嗣実さまは、体調が落ち着かれると、直属の執事である花月(はなき)に命じました。


「佰宮いろはさんの資料をそろえて下さい。できるだけ早く」


花月は、嗣実さまが食事をとっている最中に、資料を集めました。


嗣実さまは、資料に目を通されて、微かに口元を緩めました。


「三女にお家立て直し。あちら側には都合が良いでしょうね」


ポツリと一言、口にした。


「年が離れているのがネックですが……まぁ、構わないでしょう」


そう呟いて、連絡先を手に、嗣実さまは、受話器を持ち上げた。ボタンをいくつか押して、口を開きました。


「ご無沙汰しております。壱星と申します。佰宮会長にお会いしたいので、ご都合を伺いたくお電話を差し上げた次第です」
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