一番星の愛情物語
いろはさまは、ふと聞かれました。


「教え子さんは今は?」


「僕は詳しくはしらないけど……。学校の先生になってるみたいだよ」


「名前、教えて頂けますか?」


すると、類司さまは、軽く息を吐きました。


「教えるのは構わないけど。ただ、二人は元には戻れないよ」


いろはさまは、首を傾けました。


「嗣兄は彼女に献身的に尽くした。必死に。でも、彼女は過保護さが嫌だと言って。自由をくれないなら、別れるって。……壱星と関わらなければ、身の安全も自由もあるからね」


いろはさまは、唇を噛み締めました。


「嗣兄は、もう大丈夫。いろはちゃんに夢中だよ。十年前とは状況がまるで違うから」


類司さまは、ハッキリと言いました。


「守る力もある。未来を作れる力もある。やっぱり、縁なんだよ」
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