解ける螺旋
いくらなんでも、おじ様が健太郎を見殺しにするなんて思いたくない。
だって健太郎は結城財閥の大事な跡取り息子なんだから。
健太郎の言う通り、厳格で仕事の鬼みたいな人だから、健太郎はおじ様を良く思ってないのは知ってるけど。


「まあ、多分、なんだけどね。
で、もう一つ。奈月が救出されなかった場合」

「……そしたら、私は殺されていたのかも」


自分の事になると、結構簡単に予想出来た。
健太郎は黙ったまま、私の言葉を待っている。


「健太郎の場合と同じ。結局身代金の支払いの話になるよね。
だけどお父さん達はお金を用意出来なくて。
きっとおじ様も頼まれても用意してくれないと思う。
……健太郎を助けないとしたら、私だって助けてもらえないよね」

「だろうね」

「そうなると……。
樫本先生は私達の世界に干渉して、私達を助けてくれたって事になるんじゃない?」


首を傾げながら呟くと、健太郎がハアッと大きく溜め息をついた。


「お目出度いね。……良く考えて。
もしあいつがそんないいヤツだったら、そこで助けて終わりでいいはず。
何も今の俺達の前に現れて、引っ掻き回す事ないだろ」

「……あ。そっか……」

「つまり。俺達が今の時点で生きてるってのが絶対条件なんだ。
で、俺達に流れ込んで来る記憶から推測すると、多分俺が殺される世界は望まれてない。
だから奈月ばかりが他の世界で殺される」

「……うん。つまり、あの誘拐事件では私が命を落とす訳にはいかなかった。
だけどその後で、逆に私が邪魔になるって事だよね」


慎重に考えて呟くと、冴えて来たな、と、健太郎が笑う。


「俺もそこまでは考えた。
で、今の世界で実際に起きた事を検証してみた。
奈月も確認して。あの誘拐事件の後」


言われて必死に思い出す。


あの後。私達の周りで何があったか。
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