解ける螺旋
「この世界で、俺達は13年間樫本先生の干渉を受けてないはずだから。
多分先生の願い通りの薬が開発されたんだと思う。
だから調べた。
あの薬の治験が始まって製品化されるまでの間に、薬が効果を上げた患者さん。
……で、年齢的に先生と関係するって考えられた人。
これから会いに行くよ」

「え!? そ、それって……」

「決まってる。先生の妹さんだよ」


健太郎の行動力に正直驚いた。
昨日あんな話をしてまだたった一日だと言うのに、こんなに沢山の事を調べ上げたなんて。
前提に愁夜さんの時空跳躍なんて条件があっても、健太郎の説明はあまりにも明瞭だった。


「でも健太郎、妹さんは亡くなったって……」

「それは樫本先生の妹は、だろ?
この世界の先生は別に存在する。
ちゃんと妹は生きてるんだ。
会えばわかる。それで先生の目的もわかるはずだ」

「……この世界の先生」


健太郎の言葉をそのまま繰り返して、少しだけ身体を震わせた。
それを確認してしまったら、本当に会ってしまったら、健太郎の言う時空跳躍を信じる事が出来るんだろうか。
正直なところ私はまだ半信半疑だし、認めてしまったら私はますます自分の気持ちを見失ってしまう気がする。


「……でも、健太郎」

「奈月が自分で確認しないと、信じられないだろ。
……昨日だって油断するなって言ったのに。
なんでその足で先生の部屋になんか行けるのかな。
好きだって言うならいいけど、奈月ははっきり認めなかっただろ。
ちょっと軽率なんじゃない? ……それにさ」
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