解ける螺旋
駅まで送ってもらってから、『西谷愁夜』さんと別れた。
愁夜さんの本当の姿だってわかっていても、あまりのギャップにさすがに戸惑っている。


だけど、西谷さんの幸せが約束された世界では、あんな明るい人なんだと思ったら、愁夜さんの望んだ未来を理解出来る。


『西谷愁夜』さんの笑顔は、本当に魅力的だった。
愁夜さんがあのままの笑顔を浮かべる事はなくても。
この世界が未来に繋がるのなら。


その為に、私が必要ないのなら――


電車を降りて家までの帰り道。
愁夜さんを思い出して切なくなる。


どれだけ会っていないだろう。
今どこに居るんだろう。


この世界の『西谷愁夜』さんがあまりにも幸せそうだったから、愁夜さんの望んだ未来を、私も望みたくなる。
こんな風に思うのも、私が他の世界の私の記憶に惑わされているからかもしれない。


少しだけ躊躇って。
歩いては立ち止まって、立ち止まっては歩いて。
そんな不思議な行動を繰り返した後、私はくるりと方向転換して走り出した。
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