解ける螺旋
俺が五年前の世界でやった事――


真美が結城とパーティーで出会った後は、奈月を殺すつもりだった。
状況が変わって方向転換した時は、試しにやってみようって位の軽い気持ちだった。


失敗したら、もう一度繰り返せばいい。
俺にとってはたくさんある世界の一つにしか過ぎなかった世界。
そんな卑怯な気持ちで奈月を惑わせた。
『運命の恋人』から、奪うというゲームを始めた。


半分は楽しんでたのかもしれない。
実際にそう簡単に上手く行くとは思ってもいなかった。


だけど俺は奈月を強引に奪って、冷酷だとも思える態度で二人を引き裂いた。
結城と奈月の運命を破壊した。
二人の想いが実る前に奈月を奪われれば、結城が真美の想いを拒むだけの理由は無い。


そう。そこに結城の想いは残らないはずだったのに――


結城が奈月を好きだと言う気持ちを抱えたまま、奈月の望む未来を願って騙されたフリをして来たなら。
真美と付き合って俺の望む世界を創り上げたのは、奈月の為だ。
そうしなければ俺が戻らない。


だけど五年前の世界で俺が何の目的で奈月を奪ったか、結城は知っていたから。


奈月を無理矢理奪った男が戻って来る未来を願って、奈月の為に。


それが奈月の望みだったから――
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