解ける螺旋

 タイムマシン




真美の退院の日は、結城が迎えに来た。
俺は当直明けで勤務から外れていたけれど、真美を見送る為に結城が来るのを待っていた。


再会した後。
結城は真美に面会に来て、今日の事を話していたらしい。
退院したその足で結城の両親に会うと聞いた。


急じゃないか? とは思ったけれど、結城と真美が会うのは半年ぶりだったんだから。
その間に結城が真美との事を準備していたんなら、何も急じゃないのかもしれない。


自分を探し当てて、半年ぶりに逢いに来た結城の言葉が嬉しいくせに。
余計な事を気にして泣きそうになっていた真美に、俺は一言だけ言ってやった。


「結城を幸せに出来るのは、真美だけだから」


よくもまあ言ったもんだと思う。
真美もそれまでの俺の言動から、そんな言葉を想像出来た訳がないらしく。
目を丸くして絶句して。
戸惑った後にゆっくり笑顔になった。


兄貴らしくカッコ良く言ったはいいけど、結局奈月の受け売りでしかない。
ちょっと情けない気もするけれど、こんな時はなりふり構わずに兄貴として妹の背中を押してやらないと、と思った。


それが、俺が今の真美にしてやれる唯一の事だから。
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