主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
華月もまた妖気を抑えずに鬼八に襲い掛かった。
空を駆け上がると鬼八の頬には血の涙が伝い、赤い筋が走っている。
…それを見ても後悔はしていない。
自分も強い力を持って生まれたが…
常に鬼八と比べられて育ち、鬼八の明るさを疎み、鬼八の世話を押し付けられた。
いつもすぐ近くに居ながら、“殺したい”と思いながらもそれを押し殺して生きてきたこと――
鬼八に言ってもわかるまい。
わかってもらえなくていい。
『華月!』
『その手、切り落としてやる』
華月のどろりとした怨念に刺激された天叢雲がそれに応え、下段から上段に振り上げた時…
鬼八の右腕はいとも簡単に右肩からばっさりと切り落とされた。
『うぅっ!』
「主さま!」
「俺は平気だ!」
家に閉じこめられている息吹の悲鳴に答えると、鵜目姫も同じように叫んだ。
『鬼八様!どうしたのですか!?』
『鵜目、姫…!俺は…あなたを妻に…!』
『華月、俺が引き付けている間にやれ!』
三毛入野命が大地に落下してきた鬼八の前に立ち塞がると、鬼八はまさに鬼の形相で山のように大きな岩に左手をかけた。
『ふざけるな…。お前如きに俺を止められるものか!』
『俺なら止められる。死ね鬼八。死んでくれ』
鬼八の右腕からはすでに出血は止まっており、鼻で笑うと左手でいとも簡単に持ち上げると三毛入野命に向かって投げた。
『あ、悪鬼め…!』
『なんとでも言え。俺を理解してくれるのは…もう鵜目姫だけになった』
『鵜目姫は何も理解していない。俺がお前の代わりに鵜目姫にお前の真の姿を教えてやる。たっぷりと…時間をかけてな』
鬼八と華月の関係は、途絶えた。
その言葉を聴いた鬼八は瞳に青白い炎を灯すと一気に間合いを詰め、驚いて動けない鬼八の右肩に硬化させた左手の爪を突き刺した。
『う…っ!』
『お前が死ね。鵜目姫を幸せにできるのは、俺だけだ。お前では役不足だ!』
「主さま!」
『鬼八様!』
――息吹と鵜目姫が叫ぶ。
空を駆け上がると鬼八の頬には血の涙が伝い、赤い筋が走っている。
…それを見ても後悔はしていない。
自分も強い力を持って生まれたが…
常に鬼八と比べられて育ち、鬼八の明るさを疎み、鬼八の世話を押し付けられた。
いつもすぐ近くに居ながら、“殺したい”と思いながらもそれを押し殺して生きてきたこと――
鬼八に言ってもわかるまい。
わかってもらえなくていい。
『華月!』
『その手、切り落としてやる』
華月のどろりとした怨念に刺激された天叢雲がそれに応え、下段から上段に振り上げた時…
鬼八の右腕はいとも簡単に右肩からばっさりと切り落とされた。
『うぅっ!』
「主さま!」
「俺は平気だ!」
家に閉じこめられている息吹の悲鳴に答えると、鵜目姫も同じように叫んだ。
『鬼八様!どうしたのですか!?』
『鵜目、姫…!俺は…あなたを妻に…!』
『華月、俺が引き付けている間にやれ!』
三毛入野命が大地に落下してきた鬼八の前に立ち塞がると、鬼八はまさに鬼の形相で山のように大きな岩に左手をかけた。
『ふざけるな…。お前如きに俺を止められるものか!』
『俺なら止められる。死ね鬼八。死んでくれ』
鬼八の右腕からはすでに出血は止まっており、鼻で笑うと左手でいとも簡単に持ち上げると三毛入野命に向かって投げた。
『あ、悪鬼め…!』
『なんとでも言え。俺を理解してくれるのは…もう鵜目姫だけになった』
『鵜目姫は何も理解していない。俺がお前の代わりに鵜目姫にお前の真の姿を教えてやる。たっぷりと…時間をかけてな』
鬼八と華月の関係は、途絶えた。
その言葉を聴いた鬼八は瞳に青白い炎を灯すと一気に間合いを詰め、驚いて動けない鬼八の右肩に硬化させた左手の爪を突き刺した。
『う…っ!』
『お前が死ね。鵜目姫を幸せにできるのは、俺だけだ。お前では役不足だ!』
「主さま!」
『鬼八様!』
――息吹と鵜目姫が叫ぶ。