主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
沢山寝てすっきりした表情で起きた息吹は、仏頂面で縁側に座りつつ煙管を噛んでいる主さまの隣に座った。
「主さま目の下にくまができてる」
「…ちゃんと寝た」
「ほんと?かっこいいのに目の下にくまなんか作ってるともったいないよ」
かあっと頬が熱くなるのを感じながら主さまが鼻を鳴らすと、2人きりにさせたくない雪男が縁側の方の戸を開けて中へ入ってきながら息吹に笑いかけた。
「よく寝たか?」
「うんっ。雪ちゃんおはよ、今日の夕方には幽玄町に向けて出発するんだよね?早く帰りたいな」
「だよな。山姫も心配してると思うぜ」
何とかかんとか言いながら息吹ににじり寄って肩に触れようとした手に煙管を叩き付けると息吹があずかり知らぬところで2人は火花を散らした。
「なんだよ」
「触れるなと言ったはずだぞ」
「主さま、私お風呂に入って来ます。父様と」
え、という表情で2人が息吹を見ると、本人は晴明を男としては見ていないし父親だと思っているので逆に2人の反応を見て不思議そうな顔をした。
「え…、なに?」
「…晴明は男だぞ」
「晴明様は父様です」
「そうそう。私は息吹の父なのだからね」
のんびり茶を啜っていた晴明が腰を上げると息吹が腕に絡み付き、手を振った。
「見張りは要らないよ、晴明様が居るから大丈夫!」
「…」
全幅の信頼の効果は大きく、自分が触ろうとすると逃げるのに…と子供のような不満を口にすることもできず、主さまは雪男に八つ当たりをした。
「まさかお前が息吹の好いた男じゃないだろうな。もしそうだったら百鬼から追い出してやる」
「は、はあ?違うし。大体息吹は………なんでもねえし」
――雪男としては息吹が主さまを好いていることなど百も承知だが、それを口にしてしまうと主さまが突っ走ってしまいそうなので敢えて言わずに口を濁した。
「あー俺も息吹と風呂に入りたいなー」
「氷風呂なんかには絶対入らせないからな。今頃息吹は……」
むっつりな2人は息吹の入浴姿をがっつり想像して鼻の下を伸ばしていた。
「主さま目の下にくまができてる」
「…ちゃんと寝た」
「ほんと?かっこいいのに目の下にくまなんか作ってるともったいないよ」
かあっと頬が熱くなるのを感じながら主さまが鼻を鳴らすと、2人きりにさせたくない雪男が縁側の方の戸を開けて中へ入ってきながら息吹に笑いかけた。
「よく寝たか?」
「うんっ。雪ちゃんおはよ、今日の夕方には幽玄町に向けて出発するんだよね?早く帰りたいな」
「だよな。山姫も心配してると思うぜ」
何とかかんとか言いながら息吹ににじり寄って肩に触れようとした手に煙管を叩き付けると息吹があずかり知らぬところで2人は火花を散らした。
「なんだよ」
「触れるなと言ったはずだぞ」
「主さま、私お風呂に入って来ます。父様と」
え、という表情で2人が息吹を見ると、本人は晴明を男としては見ていないし父親だと思っているので逆に2人の反応を見て不思議そうな顔をした。
「え…、なに?」
「…晴明は男だぞ」
「晴明様は父様です」
「そうそう。私は息吹の父なのだからね」
のんびり茶を啜っていた晴明が腰を上げると息吹が腕に絡み付き、手を振った。
「見張りは要らないよ、晴明様が居るから大丈夫!」
「…」
全幅の信頼の効果は大きく、自分が触ろうとすると逃げるのに…と子供のような不満を口にすることもできず、主さまは雪男に八つ当たりをした。
「まさかお前が息吹の好いた男じゃないだろうな。もしそうだったら百鬼から追い出してやる」
「は、はあ?違うし。大体息吹は………なんでもねえし」
――雪男としては息吹が主さまを好いていることなど百も承知だが、それを口にしてしまうと主さまが突っ走ってしまいそうなので敢えて言わずに口を濁した。
「あー俺も息吹と風呂に入りたいなー」
「氷風呂なんかには絶対入らせないからな。今頃息吹は……」
むっつりな2人は息吹の入浴姿をがっつり想像して鼻の下を伸ばしていた。