主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【完】
何の躊躇もなく晴明と外の温泉に入っていた息吹は、晴明の背中を擦ってやっていた。
「父様は怪我がなくてよかった!主さまはひどい怪我してるけど…大丈夫かな」
「主さまは大物の妖だから問題ないよ、すぐに治るだろう。気になるかい?」
「うん。だって…私を助けるために怪我したようなものだし…きっと傷が痛むと思うから治るまで色々お手伝いしようと思います」
「色々とは?このように一緒に風呂へ入って身体を洗ってやったり膳の手伝いをしたり一緒に寝たり?」
息吹の手が止まり、晴明が爆笑を堪えながら肩越しに振り返ると…息吹はそんな光景を想像したのか顔を真っ赤にさせていた。
「お、お風呂は無理です」
「そうだね、父様もできるならそれはやめてほしい。主さまは意外とすぐに暴走するから刺激するのではないよ」
「はいっ」
――息吹は元気よく返事をしつつ、お湯で身体を洗い流してやるとまた2人で湯に浸かり、気持ちよさに息をついていると…
「おい、遅くないか?早く上がって来い」
「ぬ、主さま!?」
「なんだ、娘と親睦を深めているというのに邪魔をするな」
背の高い草をかき分けて姿を現わしたのは仏頂面の主さまで、湯が乳白色と言えど途端に恥ずかしくなった息吹は身体を丸めて首まで浸かった。
「やだ、どっか行って!」
「はあ?晴明が良くて俺は駄目なのか?晴明、俺も入るぞ」
「ああ勝手にしろ。さあ息吹上がりなさい。父様が身体を拭いてあげよう」
早速主さまいじめに走る晴明が腕を伸ばして岩の上に置いていた息吹の浴衣を取ると、主さまが鼻を鳴らして背を向けるとその場に座り込んだ。
息吹はなおも警戒しつつ言われた通り湯から上がると晴明に身体を拭いてもらいながら主さまから目を離さなかった。
「少々目を離している間にまた成長したものだねえ。女らしくなった」
「ほんとっ?胸も大きくなったっ?」
「なったとも。…おや?主さまどうした?背中がそわそわしているぞ」
「…」
「このむっつりめ」
晴明からも“むっつり”と言われ、主さま沈黙。
「父様は怪我がなくてよかった!主さまはひどい怪我してるけど…大丈夫かな」
「主さまは大物の妖だから問題ないよ、すぐに治るだろう。気になるかい?」
「うん。だって…私を助けるために怪我したようなものだし…きっと傷が痛むと思うから治るまで色々お手伝いしようと思います」
「色々とは?このように一緒に風呂へ入って身体を洗ってやったり膳の手伝いをしたり一緒に寝たり?」
息吹の手が止まり、晴明が爆笑を堪えながら肩越しに振り返ると…息吹はそんな光景を想像したのか顔を真っ赤にさせていた。
「お、お風呂は無理です」
「そうだね、父様もできるならそれはやめてほしい。主さまは意外とすぐに暴走するから刺激するのではないよ」
「はいっ」
――息吹は元気よく返事をしつつ、お湯で身体を洗い流してやるとまた2人で湯に浸かり、気持ちよさに息をついていると…
「おい、遅くないか?早く上がって来い」
「ぬ、主さま!?」
「なんだ、娘と親睦を深めているというのに邪魔をするな」
背の高い草をかき分けて姿を現わしたのは仏頂面の主さまで、湯が乳白色と言えど途端に恥ずかしくなった息吹は身体を丸めて首まで浸かった。
「やだ、どっか行って!」
「はあ?晴明が良くて俺は駄目なのか?晴明、俺も入るぞ」
「ああ勝手にしろ。さあ息吹上がりなさい。父様が身体を拭いてあげよう」
早速主さまいじめに走る晴明が腕を伸ばして岩の上に置いていた息吹の浴衣を取ると、主さまが鼻を鳴らして背を向けるとその場に座り込んだ。
息吹はなおも警戒しつつ言われた通り湯から上がると晴明に身体を拭いてもらいながら主さまから目を離さなかった。
「少々目を離している間にまた成長したものだねえ。女らしくなった」
「ほんとっ?胸も大きくなったっ?」
「なったとも。…おや?主さまどうした?背中がそわそわしているぞ」
「…」
「このむっつりめ」
晴明からも“むっつり”と言われ、主さま沈黙。