未来に向かって僕たちは【短編】
最近の俺は、日曜は病院に顔を出し、藤原のおじさんの病室に寄ってから予備校に行くのが習慣になっていた。


病室に通ううち、藤原のおばさんとも顔を合わせるようになった。

最初の頃は何だか気まずくて、居心地が悪かったけど、気さくなおばさんと話しているうちに、

徐々に打ちとけ、今では藤原がいない時でも他愛のない世間話をするようになった。


藤原は、顔はおじさん似で性格はおばさん似だってことが分かった。


こうして少しずつ時間は流れ、周囲はゆるやかに、だけど確実に変化していく。


そんな時間の流れから置き去りにされてしまったおじさんの時計は、止まったままだった。

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