優しい手①~戦国:石田三成~【完】
三成が仕事部屋にしている部屋の前に座って、もう数分経った。
中からは物音ひとつ聞こえず、また桃も声をかけることができずに心臓だけがものすごい音を立てていた。
もうこのまま引き返そうかと思い始めた時――
「…桃か」
どうしてわかったのかわからずに動揺していると静かに襖が開いた。
――見上げると、三成は…小さく笑っていた。
「もう、会いに来てはくれないと思っていた」
「…そんなことないよ。茶々さんからさっきのこと…聞いたの。私も早とちりしちゃってごめんなさい…」
畳に額がつきそうなほど頭を下げて、精一杯謝って、三成の足元を見つめた。
…しばらくそのまま動かなかったが、衣擦れの音がして、三成が膝を折ったのが見えた。
「不安な心を支えただけのこと。…だが誤解を与える光景だったことは謝る。すまなかった」
…一生懸命喋ってくれて、
そして茶々を最大限の優しさで庇い、誰も傷つかないようにしようとしている三成の心に触れて、
桃は一瞬でも醜い感情に囚われたことが悔しくて、自分を嫌いになった。
「ほんとにごめんなさい。三成さんが昨日言ってくれたこと、忘れてないから。だから私が言ったことも忘れないでね」
――驚いたように少し眉を上げて桃の手を取り、三成が立ち上がらせる。
互いに猛烈な恥ずかしがり屋で、想いを口に乗せるのにはかなりのためらいがあったのだが…
屋敷に戻った時桃は謙信に上半身裸にされ、背中は唇の痕だらけだった。
城で見た光景を忘れようとして謙信に身を任せようとしていた矢先だったことを思い出して、身が震える。
「…謙信には…抱かれたのか?」
「…っ、さ、最後まではされてないよ。謙信さん、はじめて慰めてくれたの。だから嬉しくて、私どうかしてて…」
――部屋に引き入れて襖を閉める。
細い肩を抱き、ぴったり身体を密着させると桃が見上げてきた。
「謙信に魅了されているのは承知している。だが…そなたの身体に印をつけるなど、許されることではない」
「三成さん…」
「背を見せてくれ」
謙信が持ってきてくれた着物の帯に、三成の手がかかった。
中からは物音ひとつ聞こえず、また桃も声をかけることができずに心臓だけがものすごい音を立てていた。
もうこのまま引き返そうかと思い始めた時――
「…桃か」
どうしてわかったのかわからずに動揺していると静かに襖が開いた。
――見上げると、三成は…小さく笑っていた。
「もう、会いに来てはくれないと思っていた」
「…そんなことないよ。茶々さんからさっきのこと…聞いたの。私も早とちりしちゃってごめんなさい…」
畳に額がつきそうなほど頭を下げて、精一杯謝って、三成の足元を見つめた。
…しばらくそのまま動かなかったが、衣擦れの音がして、三成が膝を折ったのが見えた。
「不安な心を支えただけのこと。…だが誤解を与える光景だったことは謝る。すまなかった」
…一生懸命喋ってくれて、
そして茶々を最大限の優しさで庇い、誰も傷つかないようにしようとしている三成の心に触れて、
桃は一瞬でも醜い感情に囚われたことが悔しくて、自分を嫌いになった。
「ほんとにごめんなさい。三成さんが昨日言ってくれたこと、忘れてないから。だから私が言ったことも忘れないでね」
――驚いたように少し眉を上げて桃の手を取り、三成が立ち上がらせる。
互いに猛烈な恥ずかしがり屋で、想いを口に乗せるのにはかなりのためらいがあったのだが…
屋敷に戻った時桃は謙信に上半身裸にされ、背中は唇の痕だらけだった。
城で見た光景を忘れようとして謙信に身を任せようとしていた矢先だったことを思い出して、身が震える。
「…謙信には…抱かれたのか?」
「…っ、さ、最後まではされてないよ。謙信さん、はじめて慰めてくれたの。だから嬉しくて、私どうかしてて…」
――部屋に引き入れて襖を閉める。
細い肩を抱き、ぴったり身体を密着させると桃が見上げてきた。
「謙信に魅了されているのは承知している。だが…そなたの身体に印をつけるなど、許されることではない」
「三成さん…」
「背を見せてくれ」
謙信が持ってきてくれた着物の帯に、三成の手がかかった。