優しい手①~戦国:石田三成~【完】
桃はパニックに陥っていた。
目は全く開かない。
とにかく痛くて疼いて、涙が止まらない。
三成に抱きかかえてもらいながら湯着のまま露天の風呂場から出て、身体の震えを止めることができないでいた。
「どうしよう、このまま目が見えなくなったらどうしよう…!」
「悪い想像はするな。大丈夫だ桃、すぐに薬師に診てもらう!」
真っ暗な中三成が力強く励ましてくれて、優しい手が大きく包み込んでくれた。
「殿、半蔵と清野はやはり…」
「彼の腹に深い立ち傷を負わせたよ。清野にも怖い目に遭わせたんだけど…逆効果だったかな」
「怖い目とは?」
兼続が聞き返すと、謙信の静かで何ら感情の籠もらない声がすぐ近くで響いた。
「女子にとっては一番怖いお仕置き。いっそのこと拷問された方がよかった、と今頃思ってるかもね」
――まるで謎かけのようで桃には全く意味が理解できなかったが、
遠くで聞こえていた声がすぐ近くで聞こえて、目を開けることができないまま声のする右側を見ると温かい手で頬に触れてきて、冷たい布で両目を冷やしてくれた。
「薬師は早朝にしか来れないらしいんだ。姫、それまで我慢できる?」
「…うん、だんだん痛くなくなってきたけど…でも目が開かないの。怖いよ謙信さん…怖いよ、三成さ、ぅ、っ、う…っ」
――盲目になってしまうかもしれない恐怖に、小さな身体を丸めてうずくまってしまった桃が哀れで、その場にいた誰もが桃を励ました。
「桃姫、春日山城へ着けば越後一の薬師に診てもらいましょう。軒猿に申し付けておきます故、ご心配召されるな…」
「うん…」
「桃、俺も越後一の薬師などに負けぬ薬師を連れてすぐに会いに行く。それまでは俺が桃の手となり脚となって着替えなり風呂なり面倒見てやるからな」
「へへっ、うん…」
「ということで。姫は単騎で駆けるのが難しくなった。ここは私に任せてほしいんだ。いいかな」
――謙信が頭を下げた。
桃にはそれがわからなかったが、三成たちは息をのんだ。
“軍神”から頭を下げられたのだ、反論できるはずもない。
「…わかった」
そう言うしかなかった。
目は全く開かない。
とにかく痛くて疼いて、涙が止まらない。
三成に抱きかかえてもらいながら湯着のまま露天の風呂場から出て、身体の震えを止めることができないでいた。
「どうしよう、このまま目が見えなくなったらどうしよう…!」
「悪い想像はするな。大丈夫だ桃、すぐに薬師に診てもらう!」
真っ暗な中三成が力強く励ましてくれて、優しい手が大きく包み込んでくれた。
「殿、半蔵と清野はやはり…」
「彼の腹に深い立ち傷を負わせたよ。清野にも怖い目に遭わせたんだけど…逆効果だったかな」
「怖い目とは?」
兼続が聞き返すと、謙信の静かで何ら感情の籠もらない声がすぐ近くで響いた。
「女子にとっては一番怖いお仕置き。いっそのこと拷問された方がよかった、と今頃思ってるかもね」
――まるで謎かけのようで桃には全く意味が理解できなかったが、
遠くで聞こえていた声がすぐ近くで聞こえて、目を開けることができないまま声のする右側を見ると温かい手で頬に触れてきて、冷たい布で両目を冷やしてくれた。
「薬師は早朝にしか来れないらしいんだ。姫、それまで我慢できる?」
「…うん、だんだん痛くなくなってきたけど…でも目が開かないの。怖いよ謙信さん…怖いよ、三成さ、ぅ、っ、う…っ」
――盲目になってしまうかもしれない恐怖に、小さな身体を丸めてうずくまってしまった桃が哀れで、その場にいた誰もが桃を励ました。
「桃姫、春日山城へ着けば越後一の薬師に診てもらいましょう。軒猿に申し付けておきます故、ご心配召されるな…」
「うん…」
「桃、俺も越後一の薬師などに負けぬ薬師を連れてすぐに会いに行く。それまでは俺が桃の手となり脚となって着替えなり風呂なり面倒見てやるからな」
「へへっ、うん…」
「ということで。姫は単騎で駆けるのが難しくなった。ここは私に任せてほしいんだ。いいかな」
――謙信が頭を下げた。
桃にはそれがわからなかったが、三成たちは息をのんだ。
“軍神”から頭を下げられたのだ、反論できるはずもない。
「…わかった」
そう言うしかなかった。