優しい手①~戦国:石田三成~【完】
ものすごく恥ずかしかったのだが、なるべくイメージが伝わるように、羽織の上からブラを胸にあてがってどんな感じなのかを説明する。


「あのね、この留め金と、この留め金をこうくっつけるの。…あれ?意外と自分でできそうな気がしてきた!」


幸村が見守る中、ばさっと羽織を床に落として湯着も脱いだ。


「…!」


――幸村がまだ見ていることにも気づかず、ショーツ姿のまま背中側でホックをつけようと苦戦しつつ、ようやく嵌まってほっとした。


「あれ?…幸村さん?居る?」


「…」


「え?幸村さん?」


「はっ、はい、ここに!姫、拙者はどうすれば…」


「えっと、ほとんど自分でできちゃったから浴衣の帯を巻いてくれるととっても助かっちゃいます」


「お、お安い御用でございます」


――どうしても声が震えてしまい、よもやブラを付けている時の一連の様子をずっと見ていたとは言えずに内心自身を罵りながらも浴衣の帯を手にした。


すると桃がまた手探りで浴衣の袖に腕を通し、そのほっそりとした身体がようやく浴衣に包まれてほっとして、


それでも血の気が下がるのには時間がかかりそうな気がしてため息をついた。


「よろしくお願いします」


「はっ!では、失礼して…」


浴衣の前を押さえている桃の前で片膝をついて身体に腕を回して帯を巻くと、桃の身体からふわりと良い香りがした。


――幸村の血がどうしようもなく騒めき、みるみる集中を失くしそうになって、歯を食いしばりながら綺麗に帯を巻き終えて、帯を整えるふりをしながら桃の顔を見上げた。

巻きやすいように両手を横に水平に広げている桃の顔には笑みが沸いていて、脇の下の浴衣の皺を伸ばすために背中を左手で支え、下方向に引っ張った。


「あっ」


踏ん張りが足らずによろめいた桃の身体を慌てて抱きしめる。


腕の中にすっぽりと収まってしまう小さな身体に興奮しそうになりつつ、いずれ謙信の正室になる女子なのだと自身に言い聞かせ、身体を引いた。


「終わりました。さあ、皆様の元へ行きましょう」


「幸村さん、ありがとう!これからもお願いしていい?」


…天国と地獄はまだ続きそうだった。
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