優しい手①~戦国:石田三成~【完】
うとうとしていると、誰かが布団の中に入ってきた。


――敢えて背中を向けたまま動かずにいると、背中に小さな手が触れてきた。


「…三成さん…」


「…」


先ほどの謙信との会話――

聞えてはいたが2人の間に割って入っていくほど野暮ではない。


桃は自分のものではないのだから。


「…どうした」


「どうした、って…わかってるでしょ…?一人じゃ眠れないから…お願い」


寝返りを打つと、薄い暗闇の中桃の大きな黒瞳が見えて、抱き着いてきた桃の小さく細い身体を抱きしめる。


「…聞いてた…よね?さっきの会話…」


「だから何だ?出歯亀など願い下げだ。そこまで浅はかではない」


いつも通りの三成に桃が安心したように笑顔を見せると、寝返りを打って背中を見せる。


「…おやすみなさい、三成さん」


…本当はもっと桃と話していたいのに、

そんなことは口には出せず、また桃を背中から抱きしめて指を絡めると、きゅっと絡めてきた。


「三成さんの手…なんか久しぶりな気がする」


「そうか?今に日々身近に感じるようになる」


――敢えて桃の首筋に顔を埋めると音を立てて吸い、今何をしているか・・・それを謙信に知らしめる。


「ぁ、や、だ…っ」


「そなたの“駄目”と“やだ”は聞き飽きた。どれほど俺がそなたを切望しているか…その身で思い知れ」


太股に手を這わせると、口を両手で覆って身体を九の字にして桃が声を我慢する。


床に入った謙信はまだ起きているはず――

それが余計に三成を昂ぶらせて、唇を強引に奪うと、とうとう声が上がる。


「あ…っ」


「どうした、皆に聴こえるぞ…」


「も、やめ、て…」


――謙信にも触られて、三成にも触られて…


それをどこか喜んでしまっている自身に羞恥心を感じて、余計に感度が増す。


「三成さん、あい、たかった…っ」


「俺もだ。桃、俺の顔を見ろ」」


耳元で囁くとようやく桃がまた寝返りを打って、両者は見つめ合う。


「三成さん…目が…男の人だよ…」


荒々しく猛る切れ長の瞳――愛しげに、指で撫でた。
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