優しい手①~戦国:石田三成~【完】
バスタオルは部屋にあるし、身を隠せるものは丈の短い身体を拭くものだけしかなくて、


心もとなかったがそれで身体を隠しながら湯に浸かっていると、三成が入って来た。


…ちゃんと服を着ている。

ちょっと安心して、ちょっとがっかりしながら、三成が布に石鹸をつけて泡立てているのを盗み見していると…目が合った。


「目は平気なのか?」


「え、うん、ちょっと痛いだけだし…。あの、三成さん、やっぱり自分でできるかも」


急に怖気づいてしまい、首まで湯に浸かりながら小さな声で言うと手が一瞬止まったが、ふっと笑って桃をどきっとさせる。


「上がってこい」


「…う、うん、わかった…」


――やけに色気の滲み出る三成の横顔は端正でいつものように無表情に近く、

なるべくこちらを見ないように気遣ってくれているのがわかり、身体を隠しながら上がって背中を向けて座ると、肩に三成の優しい手が添えられた。


「痛かったら言え。加減がわからぬ」


「あ、ありがと」


加減がわからない、と言いながらもその手つきは謙信に勝るとも劣らずなほどに優しく、目を閉じてうっとりしていると…

その手が脇に潜り込んできて、腰や腹を擦ってきた。


「んっ」


「へ、変な声を出すな!…正面に回るのは無理だからこれで我慢してくれ。それとも、自分でやるか?」


「う、ううん、お願いします…」


本当は自分でできるけれど――


――だが、肩に添えられた三成の手は熱く、胸の谷間に指が触れた時、つい過剰に反応してしまって身体を折り曲げた。


「ぁ…」


「…だから…そんな声は出すな」


背後から包み込むように抱きしめられた。


ぺたんと座り込むと顎を取られ、唇が軽く触れては離れて行く。


その繊細な動き、じれったい動きに翻弄されて、抑えていた声が我慢できなくなって…


「みつ、なりさん…っ」


「…それを消してやる」


「え…?んっ!」


――謙信が胸全体につけた唇の痕――


その軌跡を追いかけて三成の薄い唇が強く押し付けられた。


いつの間にか、押し倒されていた。
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