優しい手①~戦国:石田三成~【完】
朝目が覚めると謙信はすでに起きていて、しかもじっと寝顔を見つめていたらしく…


すぐ近くにやわらかでいて優しく儚げな美貌に笑みが差しているのを見た途端、布団を被った。


「おはよう、私の姫。何を恥ずかしがってるのかな?」


「お、おはよう、ございます…。だって私…昨日なんかすごく大胆なことを…」


「ああ、うん。可愛かったよ、桃…」


同じように布団に潜り込んできた謙信から低い声色で耳元で囁かれて悶絶していると、何やら…どたばたとものすごく騒がしい足音が聞こえた。

乱れた姿を見られたくなくてがばっと起き上がると、謙信の布団からはい出て正座した。


「お邪魔虫が来ちゃったねえ」


枕を抱きしめながら丸くなった謙信に首を傾げていると…


「桃、会いたかったぞ!!」


「あ…、政宗さんだ!」


右目に眼帯。

相変らず雄々しく猛々しく荒々しく、足音を立てながら桃の身体を抱き上げ、くるくると回った。


「きゃあっ!」


「そなたの顔が見たくて進軍を急いだのだ、よく顔を見せてくれ」


「こらこら眼帯くん、そちらの姫は私の姫だからあまり馴れ馴れしく触らないように」


「誰が貴公のだと?早く床から出ろ!男の寝乱れた姿など見たくない!」


急に騒がしくなり、久々の政宗は相変わらず元気いっぱいで、首に抱き着いた。


「謙信さんと一緒に戦ってくれるんでしょ?ありがとう政宗さん。奥州を留守にさせちゃってごめんね?」


「いやなに、俺の国にはちゃんと猛者を残してきてある。それより桃…ちと女らしくなったか?」


お尻を触られて悲鳴を上げると、いつの間に入ってきていたのか幸村がその手を掴み、桃を奪い取って床に下ろした。


「お戯れはお止め下さい」


「来たなお邪魔虫め。謙信公、俺と武田勢からの血判状は受け取ったな?さあ、貴公のも俺の目の前で押してみせてくれ。そうすれば一時でも越後と甲斐、奥州は同盟国。さあさあ」


「ちょっと待ってよ今起きたんだよ?朝餉戸を摂って場を整えて、それからだよ」


ようやく布団から出て欠伸をする謙信に桃が笑い声を上げた。


「頼もしいなあ」


英傑たちが関ヶ原に集う――
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