優しい手①~戦国:石田三成~【完】
また雷が落ちた。

びくっと揺れてぎゅっと目を閉じた桃を見つめていた謙信は、握った手に少しだけ力を込めた。


「私はどうしたらいい?言う通りにしてあげる」


「う、ううん、そのままで…きゃぁっ」


今度はすぐ近くに落ちて、轟音が轟く中稲光の度に桃の頬が涙でどんどん濡れていって、そうやって強がって自分との接触を避けている桃の隣に…寝転がる。


「ねえ桃…こうして話すのは久しぶりだね。元気だった?」


「うん、毎日走って、沢山食べて、お勉強して…きゃぁっ!だ、だ、大丈夫だよ、私は大丈夫っ」


――どれだけ強がりを言うつもりなのか。


冷たい態度を取って、話しかけることもままならずに接触を避けるようになった桃に自分も傷ついて…


本当に、どうしたらいいのかわからない。

無敗の軍神は…悩んだ挙句、布団に潜り込んだ。


「っ、謙信さ…」


「君に触れたい。…駄目かな。もう無理?」


稲光で謙信の表情がはっきりと見えて…瞳が熱く濡れていることに気付いて、桃の体温は一気に急上昇した。


…雷のことも忘れてしまっていた。



「だって…私、帰らなきゃ…。謙信さんや三成さんを置いて…」


「それでもいい。君が帰ってしまう直前まで、君に触れていたい。避けようとしたんだけど…私には無理だ」



ぎゅうっと抱きしめられて、直後謙信のものとは思えないほど激しく唇が重なってくる。


…謙信も三成も選べないのに…

最近は特に謙信のことばかり考えて、いつか謙信が言っていた言葉を思い出した。


『前世では、私と。現世では三成と結ばれる運命なのかもしれないね。だから選べないんだ』


…まさにその通りだと思った。


「謙信さ、んっ」


浴衣を剥ぎ取られて、無茶苦茶に身体を唇が這う。

…しばらくこんな感触、忘れていた。


荒ぶる謙信につられるように桃も身体を開いて、謙信を受け入れた。


「私、選べないのに…!」


「いいんだ。それでもいい。三成に抱かれてもいい。だから今だけは私のものになっておくれ。桃…」


ひとつになる。


毘沙門天の下、桃と謙信はやはり…離れられない運命にあった。
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