優しい手①~戦国:石田三成~【完】
謙信にこんなに激しくされたのはこれがはじめてだった。


三成が居ない時もただずっと傍に居てくれて、励ましてくれた人――


だけどもう離れる決意はしたから――


「謙信さ、ん…っ」


「ごめんね、激しく求め過ぎちゃった…。君を大切にしたいのに…」


いつの間にか雷鳴は止んでいて、またぎゅうっと抱きしめてくれて、汗で素肌と素肌がくっついた。


「どちらかを選べないから両方選ばないなんて…君は極端すぎるよ。私や三成の気持ちを少しは考えてくれた上での決断なの?」


まだまだ求め足りない、と言わんばかりに首筋に唇を這わせ、桃の言葉を奪って問うたのにその問いには答えてほしくなくて、ここずっと首に下げているネックレスの先についている石に触れた。


「これがこの時代へと君を運んできたんだね。これがなかったら私は誰も真剣に愛することなく、独りで逝くところだったよ」


「そんなこと、言わないで…。謙信さん、私…もう戻るって決めたの。だからこんな風にその…エッチはもうしないって…」


――聞いてくれなかった。

謙信が吐く甘い息と表情が、身体の芯を疼かせた。


しばらく互いを避けて過ごしてきたのに…また戻れなくなってしまう――


「駄目、謙信さ、ん…!」


「子ができたらいいのに…桃…ごめんね、朝まで離さないから」


――三成と謙信の顔が交互に頭をよぎる。

そんな自分が死ぬほどいやなのに、こうして求められると…至福の喜びを感じた。


「三成に言ってもいいよ、私は君を離すことができない。元の時代へ戻る間際の間際まで…離さないよ」


「わた、し、も…っ」


三成さん

謙信さん


お父さんとお母さんと再会して、石にまだ時空を飛べる力が残っているのなら…私は帰ります。


だけど、それまではずっと傍に居て。


ずっとずっと、傍に居て…


――その後何度も何度も謙信に抱かれ、縺れ合い、朝まで共に過ごして鳥の鳴き声が聴こえた時、謙信が腕枕をしてくれながらすぐ間近で微笑み、耳元で囁いた。


「君のために必ず信長を葬ってあげる。待っていて。約束するよ」


「ありがとう、謙信さん…」


温もりに溺れた。
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