優しい手①~戦国:石田三成~【完】
政宗が団子持参で桃の部屋を訪れた時…


部屋には謙信、三成、幸村、景勝、景虎、兼続が居て…すし詰め状態だった。


「その量じゃみんなに行き渡らないんだけど」


「俺は桃と2人で食おうと思って持ってきたのだぞ」


「愛姫以外の女子と2人きりにさせることはできないなあ」


「また愛の名を出したな?」


「まあまあ政宗さん、こっち来てみんなでお話しようよ」


桃に笑いかけられてちょっと鼻高々になった政宗は桃の隣に腰を下ろし、べたべたと肩を抱きながら渋面の面々を眺める。


「あの姫若子だが、やけに桃に興味津々と見える。あいつと2人きりになったりせぬ方がいいぞ」


「元親さんのこと?すっごく綺麗な男の人だよね。謙信さんとどっちが綺麗かな?」


「もちろん私の方に決まってるよ」


のんびり茶を啜りながら当たり前のように言って景虎たちを笑わせて、桃はこの時すでに薄化粧をしていて皆の目を楽しませていた。


「あの人強いんでしょ?左近さんはどこに居るの?」


「左近は庭を散歩している。長宗我部は水軍が強いが本人は物静かでまさに姫のような男だ。だがあれも男だから気を許さぬよう」


三成に念を押されて頷き、珍しくさっきからずっと黙っている景虎の手を握った。


「トラちゃんどうしたの?元気なくない?」


「…いえ、何でもありませぬ。桃姫の艶姿、楽しみにしております。ではまた後程」


戦国随一の美男が逃げるように部屋を後にして謙信に答えを求めると、儚げに微笑んでまた茶を口にした。


「後で教えてあげる。さあほら、そろそろ着替えた方がいいよ。私が手伝ってあげようか?」


「え、えっと…」


「桃、そいつは俺たちが監視しておく故安心して着替えろ。行くぞ」


謙信の腕を引っ張って立たせると皆が部屋を出て行き、笑いながら鏡台の前で服を脱ぐ。


「なんか…場が整ってきたっていうか…もうそろそろなんだなあ。…駄目駄目、笑顔だよ桃。楽しまないと…」


そうしているうちに着替えを手伝ってくれるお園が入ってきて、桃は小さな声で…囁いた。


「私が居なくなったら…三成さんを…お願いします」


「…かしこまりました」
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