優しい手①~戦国:石田三成~【完】
徳川軍に明日攻め込むことを知られてはいけないので、その夜は決起集会もなく、重臣たちと夕餉を摂って、隙をついて元親に手や太股などに触られたが、それに対していちいち突っかかっていくのは三成、政宗、幸村の3人で、謙信は肘付に頬杖をついてそれを面白そうに見ていた。


「君たち君たち、悪いんだけど私の姫が困ってるから触るのはやめてもらえないかな」


「だれが“私の姫”だ。桃、疲れたか?気付かなくてすまなかったな」


「ううん、でもちょっと疲れちゃったかな。謙信さん、三成さん、もう寝ようよ」


「じゃあそうしようか」


謙信がそう返すと、今まで寝そべっていた政宗ががばっと身体を起こし、謙信に詰め寄った。


「まさか…3人で寝ているのか!?」


「うん、桃がどうしてもって言うから」


「ぬ、抜け駆けは許さぬぞ!桃、俺も一緒に…」


言い募ろうとする政宗を幸村が羽交い絞めにして、三成が桃を姫抱っこすると部屋を出て、桃がくすくす笑いながら三成の背中を何度も叩いた。


「すっごく驚いてたね。やっぱりおかしいことなのかなあ?私は3人で寝るの、好きなんだけど…」


「三成、次は私が桃を抱っこするよ。まあ回りがおかしいと言っても私たちはこれでいいと思うよ。はい、着いたよ」


早速1番先に布団の上に寝ころがると、両脇に三成と謙信が腰を下ろし、2人して同時に桃の腹を撫でてきた。


「え、ちょ、ちょっと…なに?」


「いや、宿っていたらいいなと願いをこめてね。三成に似ていたら可哀そうだから私に似ていてほしいなあ」


「抜かせ、そなたに似ていたら男子でも女子でも無駄に色気を振りまいて混乱に陥れるに決まっている」


「あーもう!言い争いはやめて!ほらもう寝ようよ。ね、手を握ってほしいな」


甘えた声を出すと三成は頬を染めたが、謙信はすぐさま手を握ってきて微笑んだ。


「家康の首を必ず獲って来るからね。あ、もちろん見せるわけじゃないけどここで大人しくしてるんだよ」


「うん、三成さんと…謙信さんも…気を…つけて、ね…」


すぐに桃が眠ってしまい、2人は肩を竦めた。


「…寝れるか?」


「難しいねえ」


小さく笑い合う。
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