優しい手①~戦国:石田三成~【完】
皆と居る時は不思議と吐き気が襲ってくることはなく、桃は食べれるだけ沢山食べて、三成や謙信、幸村や政宗など、皆から好物を分けてもらうと嬉しそうに頬張った。


「明日が出陣なんて信じられないよね。みんな明るくってすごいなあ」


「それはうちの軍の特徴でもあるかもね。頑張れば頑張った分だけ俸禄が出るのは当たり前だし、例え百姓の出でも城に召し抱えることもあるから」


「ふうん…。……あれ?三成さん…ほっぺが赤いよ?」


「む、そうか?少々飲み過ぎたかもしれぬ。では俺は明日に備えて失礼する」


隣に座っていた政宗が、三成の盃が空になるとすぐに酒を注いでしまうのでむきになって飲み比べをしていたせいもあってか、珍しく酒に酔った姿の三成はちょっと色っぽくて、桃も腰を上げた。


「すぐ行くから。今日も3人で天守閣で寝るでしょ?」


「そなたは楽しむといい。階段で転ぶなよ」


「うん」


手を振って見送ると、今度は部屋の隅で重臣たちに囲まれて談笑していた両親の真ん中に収まって2人の手を握った。


「もう遅いから寝なさい。明日は大変な1日になるのだから」


「…うん。お母さんたちも一緒に行くんでしょ?」


少し声の揺れた桃を安心させるように茂とゆかりが桃の膝や肩に触れると、力強く頷いた。


「ええ、一緒よ。これからもずっと」


それで安心した桃が微笑むと、いつの間にか後ろに立っていた謙信が頭を撫でてきた。


「謙信さん?」


「そろそろ戻ろうか。彼らは大丈夫だよ、自身の限度を知っているからしばらくすればお開きになるから」


…ものすごく盛り上がっているので二日酔いになりはしないかと心配したのが顔に出たらしく、謙信がしっかりと手を繋いでくると部屋を出て天守閣へ向かった。


「謙信さんも沢山飲んでたみたいだけど大丈夫?」


「大丈夫だよ。それより元親がずっと君を見つめていたのが気に入らなかったなあ」


「そう?三成さんも多分そんな感じだったよ?」


「三成はいいの。君のお腹の子は私か三成の子なんだから」


…相変わらず度量の広い男だ。

だからこそ、全てを任せることができる。
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