優しい手①~戦国:石田三成~【完】
前進する波に逆らい、単騎で駆けて来る清野の姿が見えた。
清野が桃の目を短期間であれど盲目にしたことを未だに許せていない三成が桃の前に立ち塞がると、清野は息を整えながら静かに告げた。
「謙信様が信長との一騎打ちをお受けしました。前線にてあなた様をお待ちしておられます」
「え…、一騎打ち…」
信玄の時のように、あんな心臓に悪い光景をこの目で見なければならないのか?
…だが両親を監禁し、史実上最も有名な男を見てみたいという思いもあり、桃が揺れていると、三成が肩に手を置いてきた。
「謙信の本領を見ていくといい」
「…うん」
“見て行くといい”という言葉がまた別れの言葉に聴こえて俯いた桃の頭を代わる代わる撫でたのは、両親だった。
「桃…」
「大丈夫!じゃあお父さん、お母さん、謙信さんのところに行って来るね。お母さんたちは後ろの方に居て。元親さん、左近さん、よろしくお願いします」
――本当は全力で駆けていきたかったのだが、大人しくついて来ていた謙信の愛馬に乗り換えると、小走りに軍の間を走り抜け、兵たちから次々と声をかけられた。
「夜叉姫様、今日も我が軍に勝利を!」
「謙信公をお頼み申します!」
…まだ自分が去ることを皆は知らない。
知らなくてもいいと思った。
まるで幻のように消えて、自分の存在は夢だったのだと…
少しでも記憶に残ってくれればいい。
自分が存在したことを――
「桃、大丈夫か」
「え?大丈夫だよ、どうして?」
「…いや、いい。なんでもない」
「変なのー。ちょっと飛ばすね」
少し涙ぐんでしまったので、それを見られたくなくて馬を飛ばし、しばらくすると真っ白な僧服を着た謙信の姿が見えた。
ずっと待ってくれていたのかこちらを向いており、合流すると、謙信よりも政宗や幸村に寄ってたかって群がられた。
「桃姫!」
「お元気そうで何より!」
そして謙信が肩を竦め、ため息。
「桃は私に会いに来てくれたのに」
「黙れ、俺に会いに来たに決まっている!」
またもや口喧嘩勃発。
清野が桃の目を短期間であれど盲目にしたことを未だに許せていない三成が桃の前に立ち塞がると、清野は息を整えながら静かに告げた。
「謙信様が信長との一騎打ちをお受けしました。前線にてあなた様をお待ちしておられます」
「え…、一騎打ち…」
信玄の時のように、あんな心臓に悪い光景をこの目で見なければならないのか?
…だが両親を監禁し、史実上最も有名な男を見てみたいという思いもあり、桃が揺れていると、三成が肩に手を置いてきた。
「謙信の本領を見ていくといい」
「…うん」
“見て行くといい”という言葉がまた別れの言葉に聴こえて俯いた桃の頭を代わる代わる撫でたのは、両親だった。
「桃…」
「大丈夫!じゃあお父さん、お母さん、謙信さんのところに行って来るね。お母さんたちは後ろの方に居て。元親さん、左近さん、よろしくお願いします」
――本当は全力で駆けていきたかったのだが、大人しくついて来ていた謙信の愛馬に乗り換えると、小走りに軍の間を走り抜け、兵たちから次々と声をかけられた。
「夜叉姫様、今日も我が軍に勝利を!」
「謙信公をお頼み申します!」
…まだ自分が去ることを皆は知らない。
知らなくてもいいと思った。
まるで幻のように消えて、自分の存在は夢だったのだと…
少しでも記憶に残ってくれればいい。
自分が存在したことを――
「桃、大丈夫か」
「え?大丈夫だよ、どうして?」
「…いや、いい。なんでもない」
「変なのー。ちょっと飛ばすね」
少し涙ぐんでしまったので、それを見られたくなくて馬を飛ばし、しばらくすると真っ白な僧服を着た謙信の姿が見えた。
ずっと待ってくれていたのかこちらを向いており、合流すると、謙信よりも政宗や幸村に寄ってたかって群がられた。
「桃姫!」
「お元気そうで何より!」
そして謙信が肩を竦め、ため息。
「桃は私に会いに来てくれたのに」
「黙れ、俺に会いに来たに決まっている!」
またもや口喧嘩勃発。