優しい手①~戦国:石田三成~【完】
「これは…お父さんの…?」
その紙に描かれていたのは、写真でしか見たことのない父の結婚指輪だった。
その証拠に、指輪に嵌まっているのは…
時空を飛ぶためのあの石が描かれていて、それは間違いなく父の仕事道具であり、二人の結婚指輪。
ただし石は半分欠けていた。
「どこで…これを…?」
声が震え、泣きそうになった桃を見るに耐えたくなった幸村が走り寄り、膝をつく。
「桃姫…お気を確かに」
「だってこれ…これがないとお父さん、元の時代に戻って来れないんだよ!?」
――母のものは自分や姉たちと同じタイプで、時空をひとつで二人分飛ぶには無理がある、と聞いたことがある。
だから…帰って来れないの…!?
「謙信さんの国にお父さんとお母さんが居るの!?助けに…助けに行かなくちゃ!」
「姫、落ち着いて。君の父母が健在かはまだわかっていないけど…これはある日毘沙門天の像の前にいつの間にか置いてあったものなんだよ」
「…え……」
「その直後私は天啓を受け、姫のことを知ったんだ」
桃の手を握っていた幸村は事情が飲み込めずに黙っていたが…桃がこの時代に生きる人間でないことだけはわかった。
謙信は最初からそれを知っていて、尾張まで桃に会いに来たのだ。
「一石二鳥でしょ?越後には姫の父母が今も居るかもしれないし、姫が探しているものもあるかもしれない。だから越後においで」
――桃は揺れていた。
飛ばされた場所…オーパーツはほぼその近くにあると言われている。
オーパーツ探しを一旦止めて、父母を探しに越後へ行って、会いたい…
「…三成さんに相談しなきゃ…」
「三成は秀吉の重臣。参謀だ。この尾張から離れるわけにいかないんだよ。だから自分で決めてほしい」
素っ気なくそう言い、謙信が席を立ったので桃は途方に暮れた顔で見上げると…謙信は優しすぎる笑みで手を差し延べた。
「三成の手を離し、私について来る気になったら言いなさい。私が骨の随まで愛してあげるよ」
幸村がぎゅっと目を閉じる。
兼続は自信満々の主君を誇らしく思い、桃は…
ただただ震えていた。
その紙に描かれていたのは、写真でしか見たことのない父の結婚指輪だった。
その証拠に、指輪に嵌まっているのは…
時空を飛ぶためのあの石が描かれていて、それは間違いなく父の仕事道具であり、二人の結婚指輪。
ただし石は半分欠けていた。
「どこで…これを…?」
声が震え、泣きそうになった桃を見るに耐えたくなった幸村が走り寄り、膝をつく。
「桃姫…お気を確かに」
「だってこれ…これがないとお父さん、元の時代に戻って来れないんだよ!?」
――母のものは自分や姉たちと同じタイプで、時空をひとつで二人分飛ぶには無理がある、と聞いたことがある。
だから…帰って来れないの…!?
「謙信さんの国にお父さんとお母さんが居るの!?助けに…助けに行かなくちゃ!」
「姫、落ち着いて。君の父母が健在かはまだわかっていないけど…これはある日毘沙門天の像の前にいつの間にか置いてあったものなんだよ」
「…え……」
「その直後私は天啓を受け、姫のことを知ったんだ」
桃の手を握っていた幸村は事情が飲み込めずに黙っていたが…桃がこの時代に生きる人間でないことだけはわかった。
謙信は最初からそれを知っていて、尾張まで桃に会いに来たのだ。
「一石二鳥でしょ?越後には姫の父母が今も居るかもしれないし、姫が探しているものもあるかもしれない。だから越後においで」
――桃は揺れていた。
飛ばされた場所…オーパーツはほぼその近くにあると言われている。
オーパーツ探しを一旦止めて、父母を探しに越後へ行って、会いたい…
「…三成さんに相談しなきゃ…」
「三成は秀吉の重臣。参謀だ。この尾張から離れるわけにいかないんだよ。だから自分で決めてほしい」
素っ気なくそう言い、謙信が席を立ったので桃は途方に暮れた顔で見上げると…謙信は優しすぎる笑みで手を差し延べた。
「三成の手を離し、私について来る気になったら言いなさい。私が骨の随まで愛してあげるよ」
幸村がぎゅっと目を閉じる。
兼続は自信満々の主君を誇らしく思い、桃は…
ただただ震えていた。