天神学園大新年会
そして元旦。

眼鏡男子の実家。

多くの親戚が集まる中に、アリスカも同席していた。

学園の社会科教師、通称しまじろうも眼鏡男子の身内なのだが、何やら今年一年を占う大勝負的な女性への誘いをしなければならないとかで、本日は早々にお暇したらしい。

「ねぇアリスカちゃん、誰からの電話?男の子?」

快活な少女が、龍娘からの電話を切ったアリスカに擦り寄る。

スポーツが得意そうで、元気溌剌とした感じの同年代の女子高校生だ。

「あら、やっぱりこんな可愛い子だと引く手数多なのねぇ…うかうかしてると取られちゃうかもねぇ…」

その隣で、どこか神秘的な雰囲気を醸し出す大人っぽい女性が、タロットカードをシャッフルしながら眼鏡男子をからかった。

アリスカが紹介されたのは、彼女達二人。

二人とも、眼鏡男子の親戚。

彼女達二人と、既に故人である男性は、眼鏡男子の親戚筋でも特筆すべき『天才肌』として知られているそうだ。

故人の男性は優秀な精神科医、快活少女は高校陸上界の超新星、タロットの女性は一族でも異彩を放つ占い師。

平凡な眼鏡男子と同じ血筋とは思えない。

しかしその血はしっかりと眼鏡男子にも息づいているらしく、多重人格の能力として彼に宿っている。

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