契約恋愛~思い出に溺れて~
「そうね。英治くんは正しいわ」
なんとか冷静さを取り戻して、椅子に深く座り直す。
英治くんは飲んでるはずなのに、頭は正常みたい。
ここで飲んだら絶対言い負ける。
注文を取りに来たウェイターに、ウーロン茶を注文する。
「飲まないの?」
「介抱しに来たんだもの」
「ああ、そうだったね」
「……それが目的じゃなかったの?」
自分で呼び付けたくせに。
「その疑似恋愛は、相手が本気になっちゃったらどうするの?」
「んー、別れるよ。俺は無理。抱え込めないからね」
「でも」
昼間見た彼女は、すでに英治くんに気持ちがあるように見えたけど。
だとしたら辛いと思う。
別れた彼氏を見返すためだったはずなのに、二重の失恋みたいなことになって。
なんとなく彼女の気持ちを思うと、物悲しくなる。