契約恋愛~思い出に溺れて~
『待ちきれなかった』
そんな言葉に心が動く自分を、どう受け止めたらいいのか分からない。
落ち着いて。
落ち着くのよ、紗彩。
英治くんとは何もないでしょう?
ただの恋人の友達。
しかも、その恋人とは多分別れることになる。
そしたら、本当にただの他人よ。
英治くんと会うことなんて……。
そこまで考えて、ぽっかり胸に空洞が開いたような気分になった。
……そうだ。
達雄と別れたら、私と英治くんは何の関係もなくなるんだ。