契約恋愛~思い出に溺れて~

 それからまた何日か経った日曜日。

私は買い物を終わらせた後、紗優と部屋でくつろいでいた。

紗優はお絵描きに夢中になっているようなので、私は本棚の整理をしていた。
ユウの本が結構残っていて、綺麗な海の写真集なんかもある。

私はそれを取り出し、1枚ずつページをめくりながら、海にいるユウを思った。

ユウに出会ったのも海だ。


波の音。

足裏に軽い痛みと共にくっつく砂。

深い青から、薄い青へのグラデーション。
そして波打ち際に見える白い泡。

彼はサーフボードに乗った時、いつも波の合間から現れる。

立ち上がると妙に存在感が増して、波に反射する光が彼を煌めかせているようにも見えた。


とても綺麗な、思い出。


それとも、


思い出だから、綺麗なの?


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