契約恋愛~思い出に溺れて~
「ねぇ、ママ?」
紗優の声に、私は現実に引き戻された。
慌てて写真集を閉じて紗優を見ると、指にクレヨンの色がついている。
「あ、かけたの? 見せて」
「うん。あの、……あのね」
「ん?」
おずおずと紗優が見せてくれたその絵には、男の人が書かれていた。
きりっとした眉毛、茶色の耳にかかるほどの髪。
そして、濃い肌の色。
着ている洋服は、この間英治くんが着ていたものに似ている。
子供が描くものだから、もちろん誰に似てるってはっきり言い切れないけど。
それはユウの絵にも、英治くんの絵にも見えた。