契約恋愛~思い出に溺れて~
気がつけば、紗優が私に携帯電話を差し出していた。
「ママにかわって、だって」
「あ、う、うん」
電話を受け取り、一度深呼吸をした。
紗優は話したことで満足したのか、本棚から絵本を取り出して読み始めた。
「もしもし」
『紗優ちゃん、絵上手だねー。よくさ、会社で父の日に絵を描いてもらったってデレデレしてる奴とかいるけど、あいつらの気持ちがわかったかも』
「そう? でもありがとう。紗優、喜んでた。キャッチボールも、私出来ないし」
『ああ、紗彩ちゃんって運動音痴っぽいよね』
確かにそうだけど、人から言われるといらつくのはなぜなのかしら。
「余計なお世話です」
『はは。ところでさ、さっき紗優ちゃんにお礼にご飯食べに連れて行ってあげるっていっちゃったんだけど、紗彩ちゃん、仕事早く終わる日ないの?』
「は?」
『だから、一緒に夕食食べに行こうよ』
「一緒にって」