契約恋愛~思い出に溺れて~
いつの間にか、紗優が私の傍に来て、こちらを見ていた。
「紗優? どうしたの?」
「ママ、さっきからふう、ふうってばっかり」
「え?」
「えっと、ためいき」
「ああ」
そんなにしてたかな。無意識だったのに。
「ごめん」
そう言って、紗優を抱き寄せると嬉しそうにひっついてくる。
「サユ、あのおじちゃんだいすき」
「……うん」
「またあえるっていってた?」
「ごはん、食べに行こうって。土曜日ね。次の保育園のお休みの日」
「わぁい!」
素直に喜ぶ紗優に、なんて言ったらいいんだろう。