契約恋愛~思い出に溺れて~
『あのさ……』
英治くんの声も、なんとなくいつもと違う。
リラックスしてる声じゃなくて、少し固くて緊張してるみたいな。
「なに?」
『とりあえず、この間は急にごめん。ドタキャンになっちゃって。
それだけは謝らせて』
その言葉に、月曜のことをまた思い出す。
何度も何度も頭に蘇ってくる、英治くんと彼女の姿。
あの人は、英治くんの大切な人?
私と会うはずの時間、あなたはずっとあの人と居たの?
喉もとから湧き出てくる、嫌な気持ちが止められない。
私に、そんなこと言う資格ないのに。
英治くんの行動に文句をつける筋合いなんか、ないのに。
「……大切な人がいるなら、私になんて構わないで」
聞き取れないほどの小さな声が飛び出してしまった。
全身に血が上って、体が震えてくる。
なんてこと、口に出しちゃったの。
聞こえた?
聞こえてない?
お願い。
聞こえてないって言って。