契約恋愛~思い出に溺れて~
『どういう意味?』
けれど英治くんの言葉は、ぎこちない固さを保ったまま私の胃のあたりに落ちた。
これ以上言ったってどうにもならないのに、
胸のつかえが苦しくて、言葉がどんどん吐き出されていく。
「夕方、出先から会社に戻るとき、女の人といるのを見たの。あの人といたんでしょう?」
『は? 違うよ』
「じゃあなんで急に駄目になったの」
『それは……』
口ごもる英治くんの、心の奥が見えない。
相手が本気になったら、抱え込めない。
あなたは、そう言ったよね。
今の私がまさにそう。
気持ちを伝える勇気もない癖に、あなたの行動に傷ついて責め立てて。
きっとそのうち手に余って、嫌われてしまう。
だからこんなこと言いたくないのに。
止められない。
それくらい、悲しくて。
苦しいくらい好きになってた。