契約恋愛~思い出に溺れて~


「達雄、大丈夫なの?」

『落ちこんで、昨日はやけ酒。今日は二日酔いの状態で妹を探しに歩いてた』

「そう」

『ちょっと見てらんないから……しばらく手伝ってやろうと思ってる』

「英治くんが?」

『ああ。アイツ一人じゃ倒れるほど動きかねない。どこかで止めてやんないと』

「じゃあ……」

『うん。悪いけど、しばらく会えないかもしれない』

「……分かった」


仕方ない。

そうは思うけど、釈然としない気持ちもある。

今の私と紗優にとって、英治くんの存在が大きくなりすぎてて。
会えないのがものすごく辛い。


「英治くん、達雄に甘いよね」


思わずポツリと飛び出してしまった言葉には、小さな嫉妬が含まれる。

自分がこんなに嫉妬深いなんて、今まで知らなかった。

< 344 / 544 >

この作品をシェア

pagetop