契約恋愛~思い出に溺れて~
「達雄、大丈夫なの?」
『落ちこんで、昨日はやけ酒。今日は二日酔いの状態で妹を探しに歩いてた』
「そう」
『ちょっと見てらんないから……しばらく手伝ってやろうと思ってる』
「英治くんが?」
『ああ。アイツ一人じゃ倒れるほど動きかねない。どこかで止めてやんないと』
「じゃあ……」
『うん。悪いけど、しばらく会えないかもしれない』
「……分かった」
仕方ない。
そうは思うけど、釈然としない気持ちもある。
今の私と紗優にとって、英治くんの存在が大きくなりすぎてて。
会えないのがものすごく辛い。
「英治くん、達雄に甘いよね」
思わずポツリと飛び出してしまった言葉には、小さな嫉妬が含まれる。
自分がこんなに嫉妬深いなんて、今まで知らなかった。