契約恋愛~思い出に溺れて~
『そう? まあ、達雄ってちょっと紗彩ちゃんに似てるしね。ほっとけない感じとか』
「……!」
英治くんは切り返しが上手い。
こんな風に言われてしまったら、もう返す言葉なんてない。
『達雄は本物の自分の家族がいないのに、ものすごく家族愛が強い。
それが不思議で仕方がなかった。
俺は父親も母親も本物なのに、離婚されたってだけでどちらともぎくしゃくしてるから』
「英治くん」
『出来れば、達雄にはちゃんと幸せになってもらいたい』
「そうね。私にも何かできる?」
『紗彩ちゃんは、紗優ちゃんを見てあげてて。また達雄が甘えちゃうと困るから』
小さな笑い声と共に言われる。
そう言われてしまえば、無理に何かすることもできないだろう。
確かに、もう来週には卒園式がある。
それから入学式までの間に、納期を迎える仕事があるから、仕事量も多くなる。
紗優と一緒に学校までの道を歩いたり、最終準備をしたり。
やる事はたくさんあった。
「わかった。大人しく待ってるから。電話だけはくれる?」
『もちろん』