契約恋愛~思い出に溺れて~
「……別に。一人で飲みたいだけ。お気になさらずに」
そっけない態度で、彼に返事をする。
柔らかそうなダークブラウンの髪の毛。
どことなくユウに似ていて、胸が締め付けられる。
「おいぃ、英治。ァンパなんかすんな」
酔っぱらっている方の黒髪の男の人が、よく回らない口でそう言った。
英治と呼ばれた人は、あしらうように軽く笑う。
「一人の女性をナンパすんのはある意味礼儀だよ」
「そんな礼儀は要りません」
とんでもない返答に、私もとりあえず口を挟む。
あまりの即答ぶりに閉口したのか、英治さんは眉をひそめたまま苦笑いをする。
何だかおかしくて、思わず笑ってしまった。
彼の方も「ははは」と軽く笑いだす。