契約恋愛~思い出に溺れて~
正しい指摘に、私は苦笑いをする。
「もう、死んだの。2年も前になるわ」
頭の中で波の音がする。
あの時の事を思い出すといつもこうだ。
「じゃあ一人なの?」
「ううん。彼は娘を残してくれた」
「じゃ、待ってんじゃないの? 帰らなくていいの?」
「うん。そうね。でも多分もう寝てるかな。今日は親に預けてあるの」
「ふうん」
不思議そうな顔をする英治さん。
達雄さんの方は、ただ労わるように私を見ていた。
「たまには飲みたくなるよな。わかる。
どんだけ可愛くても息つまることってあるしね」
「うん。お子さんいるの? なんか詳しい」
笑ってそう聞くと、達雄さんは顔に微笑みを浮かべたまま、小さく首を振った。