契約恋愛~思い出に溺れて~
黒く深く優しい眼差し。
優しい人なのかも知れない。
「でも似たようなことはあって。だから分かるよ、なんとなく」
「そう」
落ち着くような声。
どうしてだろう、外見的には全く似ていないのに。
ユウの声はこんな声だったかも、なんて思ってしまう。
「ここ、死んだ彼が好きだった店なの」
「ふうん」
「俺も好きだな。落ち着くし。飲めないけどついここに来ちゃうもんな」
「そうだな。それで俺に飲まされて酔い潰れるんだ」
「それは余計」
ははは、と笑い合う二人。
仲が良い同僚なんだな。
私も渚とだったらこんな風に話せるのに。
その渚も、もうすぐ退職してしまう。
どうして、私はいつも置いて行かれてしまうんだろう。